ある職人との出会い④

2/9を、オープンの日に決めていたが、彼は最後の最後まで一緒に作業を手伝ってくれた。

そもそもなぜ彼は2ヶ月前に初めて会った僕たちにここまでしてくれるのだろう??
とさえ思ってしまう。

駐車場はお客様の方で5台は駐められるようにしたけれど、
予算の関係上、まずは砂利を敷くことに。
庭園の方にトラック数台分の砂利をもってきてもらい
それを彼が小型重機や一輪車をつかって彼なりに気になる所へすみずみに運んでくれた。

お店の大きな窓の外には花や木を植えると良いだろうと、
それ用のスペースを作ってくれた。

海岸で拾った流木があるぞと、トラックに積んで持って来てくれ、そのスペースを、囲ってくれた。
玄関のドア前の
タイル貼りも彼の作品。

オープン前の数日で決めたことなので、手の凝ったことはできなかったけど、シンプルでキレイな彼の人柄らしい雰囲気が出ている。

いつも彼は犬のぷうたを待たせないように夕方までには現場を後にするが、最終日は夜まで砂利敷きをしてくれ、クタクタになりながら仕事を終えた。
「今日は
おれの大じいさんに力を貸してくれー!と朝お願いしながら来たんだ。」

御先祖も建築関係(大工??)のことをしていたようで、
当時の弟子たちと一緒に写っている額縁に入ったモノクロの写真を僕たちに見せてくれた。

大じいさんも見守ってくれていたとは…。本当にありがたい。
彼には頭が上がらない。

礼はいらんよ
と本当にそのままサッと帰ってしまいそうだったので、引き留め
心ばかりの御礼をお渡しして、
彼と別れた。

「じゃあ頑張って。やるだけの事はやったで」と

さらっとトラックに乗り、去っていく彼。

「ありがとうございます!!」
それ以外の言葉がないな…
ちょっとうるっと来たラストシーン。



オープンして一ヶ月   経った頃だろうか、話にも聞いていた、娘さんの子(お孫さん)を連れ
わざわざ来店してくれた。
「この子に  なかなかしてやれることがないもんでさあ」
と彼らしいセリフ。

僕たちとしても自分たちの仕事で、彼に恩返し出来ることを嬉しく思いました。

この時も
駐車場や、店内の仕上げを見て、ああした方が良いとか、この方が良いとな言ってたな。

これからも来て欲しいなあ。

終わりが見えませんが、
彼との思い出はここまでで。




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